指導士インタビュー
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指導士インタビュー 【第四回】New
サルコペニア・フレイル指導士の活動最前線
指導士インタビュー 【第四回】医師
小林隆洋(こばやし・たかひろ)先生
長野県安曇野市出身。南長野医療センター篠ノ井総合病院で循環器内科医師として急性期診療に携わる一方、心臓リハビリテーションや心疾患の地域連携パスにサルコペニア・フレイルを積極的に取り入れるなど、サルコペニア・フレイル指導士としても活動している。信州サルコペニア・フレイル研究会代表。
サルコペニア・フレイル対策の推進と地域連携の強化を目指して
専門職種(医師)として行っている活動
循環器内科の医師として、現在は長野市にある中核病院に勤務し、主に心筋梗塞、狭心症といった虚血性心疾患や、心不全の患者さまの診療を行っています。
入院患者さまの治療が中心ですが、運動療法をはじめとして食事療法や看護指導、疾病管理などからなる包括的な心臓リハビリテーション(心リハ)も提供しています。包括的心リハには多職種との連携が不可欠で、多職種チームを組んで対応しています。
指導士として行っている活動
心臓病と骨格筋障害の関連性を解説した書籍に出合ったことをきっかけにサルコペニア・フレイルに関心を持つようになり、学会大会に参加しすぐに学会に入会しました。当初は担当患者さまにサルコペニアやフレイルの評価を行い、必要に応じて栄養の介入やレジスタンストレーニングを中心とした運動の指導を行っていました。
その後、当院を中心とした地域で、心疾患の「地域連携パス」を構築しました。これは入院中から退院後の外来通院まで、地域内の医療施設や介護施設が連携して切れ目のない診療を行う仕組みです。
パスの作成にあたり国の循環器病対策推進基本計画に則って心リハの内容も同時に強化し、循環器疾患の入院患者さまの様々な情報を退院後も地域に繋げる体制を作りました。
その中にはフレイル関連の項目も組み込んでいるため、地域における心疾患の連携強化だけでなく、サルコペニア・フレイルに対する啓発も同時に行うことができています。
施設外で行っている活動
指導士資格取得後、すぐに学会ホームページに掲載されている名簿を確認して長野県内の指導士に連絡を取り、「信州サルコペニア・フレイル研究会」を設立しました。
現在は医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、健康運動指導士で構成されており、専門性の高いメンバーとともに外部へ向けた情報提供や啓発を中心に活動しています。
今年は県内各市町村の保健師などの方々を対象とした県主催の研修会で、サルコペニア・フレイルの講演を行いました。フレイルへの取り組みに市町村間の差が大きく、有効と思われる対策が進んでいない地域も多い現状を踏まえ、特にフレイル対策の土台になると思われる診断について深く掘り下げて話をしました。
講演後に寄せられた感想で「具体的に何をすれば良いのかがよく分かった」という声をいただけたことが特に嬉しく、指導士としての知識、経験を活かすことができたと感じました。
サルコペニア・フレイル対策は多職種で取り組むべき課題であり、行政だけでなく各専門職種の団体とのネットワークを拡充し、情報共有や協力体制の構築を進めています。
また研究会内での勉強会も持ち回りで開始し、お互いの知識の向上を図っています。
患者への評価や結果の伝え方、アプローチ方法
包括的心リハでは、心不全や心筋梗塞の患者さまに対して、GLIM基準による低栄養評価や、チェックリストを用いてふるい分けを行った上でのオーラルフレイルの診断や介入、またリハビリスタッフによるサルコペニア・フレイルの評価を行っています。
私が直接結果を伝えられているのは担当患者さまのみになりますが、検査結果を伝える際にはサルコペニア・フレイル指導士の観点から、運動や栄養の状態について一人ひとりに丁寧に説明しています。
他職種のスタッフへの評価や結果の伝え方、アプローチ方法
心不全とサルコペニア・フレイルとは深い関連があるため、以前から院内の勉強会などで取り上げることもありましたが、今回の包括的心リハの更新と地域連携パスの作成を機に、再度院内スタッフにサルコペニア・フレイルの重要性を説明しました。
定期的に行っている心リハの多職種カンファレンスでは、患者さまの情報を一元化したカンファレンスシートを用い、院内多職種でサルコペニア・フレイルに関する情報も共有しています。
地域連携パスの作成や運用にあたり、地域の医師会や歯科医師会を始めとした多職種に働きかけを行う中でもサルコペニア・フレイルの重要性について取り上げ、周知を図りました。心リハのカンファレンスシートをそのまま地域連携パスの情報共有の手段として使用しており、サルコペニア・フレイルの評価結果も地域の多職種に伝達しています。
必要な情報を必要とされる場所へ届ける
思いと今後の抱負
サルコペニア・フレイルの重要性が十分浸透しておらず、医療従事者や行政の方々にはサルコペニア・フレイルを正しく理解し、その重要性を認識してもらうことが大切です。
実際に現場の声を聞いてみると、医療従事者、行政、そして患者さまなど、多くの方がサルコペニア・フレイルに関する情報を強く求めており、その関心の高さを日々感じています。
必要な情報を積極的に発信し、広める活動を今後も続けていきたいと考えています。
指導士になることは、ゴールではなく新たなスタート
指導士を目指す方へのメッセージ
指導士資格を取得したことで、さまざまな方からの協力を得やすくなったと感じています。
行政や他職種の団体に連絡をとり、連携していくことは敷居が高いと考える方もあると思いますが、実際に働きかけを行ってみるととても熱心に対応してくれる場合が多く、情報を欲している人々とつながることの重要さを実感しています。指導士の強みは、そうした方々に正しい情報を提供できる点にあると考えます。
しかしながら、サルコペニア・フレイル対策には多面的な評価と介入が必要であり、どれだけ知識を深めてもすべてを一人で対応するのは難しいのが現実です。
指導士になることは、ゴールではなく新たなスタートです。指導士同士での連携を強化し、協力して活動できれば、今後のサルコペニア・フレイル対策をさらに質の高いものにできると考えています。
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指導士インタビュー 【第三回】
サルコペニア・フレイル指導士の活動最前線
指導士インタビュー 【第三回】管理栄養士
髙﨑美幸(たかさき・みゆき)先生
東葛クリニック認定栄養ケア・ステーション松戸、松戸市医師会松戸市在宅医療・介護連携支援センターで、管理栄養士、サルコペニア・フレイル指導士として活動。在宅栄養やリハビリテーション栄養に精通。著書も多数執筆し、地域連携や栄養ケアの向上に尽力している。
在宅療養を選択する方にも、適切な栄養ケアを
専門職種(管理栄養士)として行っている活動
現在は松戸市にある病院にて、地域の栄養ケアの拠点となる「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」を設け、在宅訪問栄養食事指導をメインに行っています。当法人は慢性腎臓病(透析医療)に精通していることから、透析患者さま向けの栄養指導も積極的に実施しています。
また、出向先の松戸市医師会松戸市在宅医療・介護連携支援センター(以下センター)の管理栄養士として、医師等からの依頼に基づき、栄養アセスメントを行い、診療や支援に資する助言を行うこともあります。
2011年の東日本大震災発生後に、日本栄養士会からのボランティアで、石巻や女川地区で食事や栄養の支援をさせていただいた経験が在宅・地域の栄養士という自分の道を決めることとなりました。「人々が日本のどんな場所でも在宅の栄養ケアを受けられるように」という思いを胸に、神奈川県の病院で秦野市を中心に周辺の11市9町で9年ほど活動いたしました。
指導士として行っている活動
東葛クリニック認定栄養ケア・ステーション松戸を拠点に、定期的にフレイル・サルコペニア予防のイベント(健康ゼミ&栄養の日イベント)を実施しています。また、栄養相談の中で、全患者さまへのオーラルフレイルチェックを行い、必要な方には唾液腺マッサージや口腔ケアも実施します。
特に在宅療養患者さまのなかには、なんらかのサルコペニア・フレイル症状が見られる方、サルコペニア肥満の傾向のある方などが多くいらっしゃいます。当院の患者さまだけでなく、地域の開業医の先生方から指示を受けてご自宅や入所施設に出向き、そのような方への栄養指導を行っています。患者さまだけでなく、そのご家族やかかりつけの先生、ヘルパー、ケアマネ、訪問看護師との連携や指導も重視しています。
またセンターで、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」事業の一部として松戸市から受託しているハイリスクフレイル予防事業にも携わり、サルコペニア・フレイル予防の啓発活動もしています。
施設外で行っている活動
「みんながみんなで健康になる」という一般社団法人に於いて、一般の方向けにサルコペニア・フレイル対策のイベントを行っています。
定期的な活動として、メディカルウォーキング(医歩)を実践する「オンライン医歩」(第1日曜)、一般の方のよろず質問に専門職が答えたり、話題提供のプレゼンを実施したりする「健康縁日(オンライン)」(第3日曜)を行っています。
市内の団地にお住まいの高齢者を中心に参加いただいており、今年で4年目です。動画配信もしていますのでぜひご覧いただけたら嬉しいです。
患者への評価や結果の伝え方、アプローチ方法
食事や栄養について患者さまご自身はさほど困っていないとおっしゃることがよくあります。食事は生活の一部で、当たり前のことだからこそ気付きにくいため、例えば「体重が少し減ったかな」「食欲がないな」というような、患者さまの日々の様子から判断して、積極的にお声かけするようにしています。
またセンターで実施している市のフレイル予防事業の一環で、訪問、電話、集団測定会などを実施しています。地域に出向いて住民の方と関わる機会を通し、「気づき」が生まれることも大切だと思っています。
他職種のスタッフへの評価や結果の伝え方、アプローチ方法
前提として病院の場合は院内に各医療スタッフが揃っていますが、在宅訪問の場合は患者さま毎に介入しているサービスが異なり、多事業所から職種別にスタッフが伺い対応するため、別々の視点でアドバイスを行うと患者さまご家族の混乱を招く事になりかねません。
例えば食べることと運動することは密接に関わっており、リハビリテーション職のスタッフと整合性を持ったアドバイスをしないと、適切なケアができません。患者さまが納得して食事や運動に取り組んでいただけるよう、他職種との連携は特に重視しています。
職種やフィールドなど、さまざまな垣根を越えて連携することが必要
思いと今後の抱負
同職種、他職種のスタッフにサルコペニア・フレイルを正しく理解することの重要性を広め、患者さま一人ひとりへの細やかなケアに繋げたいです。
また院内、院外、在宅という枠組みだけでなく、医療、福祉、介護の垣根を越えて連携することもこれからますます必要になると感じています。学会のなかでも、管理栄養士だからこそできることを模索していきたいです。
周りの人たちと協力し、活動の輪を広げていけるように
指導士を目指す方へのメッセージ
食べることは、人が生まれてから死ぬまで、生活から切っても切り離せないものです。対象者と密にコミュニケーションを取りながら、適切なケアやサポートができる人材が必要です。
サルコペニア・フレイルについて携わるようになってから感じたのは、一人の力でできることには限りがあるということ。現在は院内でも他職種スタッフとともに、サルコペニア・フレイル予防の啓発イベントを行えるようになりました。一緒に活動できる人たちを見つけて、いかに連携してその輪を広げていくか、こういった意識を持った仲間が増えると嬉しいです。
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指導士インタビュー 【第二回】
サルコペニア・フレイル指導士の活動最前線
指導士インタビュー 【第二回】薬剤師
前堀直美(まえほり・なおみ)先生
ながえ前立腺ケアクリニック専任薬剤師・日本薬剤師会認定薬剤師・老年薬学認定薬剤師。基幹病院や保険薬局での経験を生かし、多角的なアプローチで患者対応を行う。サルコペニア・フレイル指導士ほか、骨粗鬆症マネージャー・排尿機能検査士・認知症ケア指導管理士等、多種多様な資格を有する。
薬剤師だからできる、薬剤だけに頼らない多角的なアプローチが強み
専門職種(薬剤師)として行っている活動
現在は泌尿器専門クリニックの専任薬剤師として、主に患者さまの診察前面談を実施しています。
薬の効果と副作用などのチェックや、現在の症状にどのくらいお困りなのか聞き取りをします。例えば薬物治療を進めたいのか、それとも生活指導で改善したいのかといったモニタリングを行い、それらの内容を医師の診察に繋げています。
指導士として行っている活動
特に前立腺癌の治療であるホルモン療法をされている方や、睡眠障害のある方で薬物を長期で服用されている方などは、転倒やふらつき、認知機能の低下等サルコペニアの症状がみられる場合が多くあります。そういった方に薬の飲み方や服用量を減らす提案、生活指導を行っています。
現在勤務するクリニックのスタッフは少人数ではありますが、それゆえに医師、看護師、薬剤師、事務員全員が一丸となって患者対応できるのが強みです。患者さまの表情や動作・会話などをヒントに、スタッフ全員で患者さまを見守りながら一人ひとりへの診療に繋げています。
また私は骨粗鬆症マネージャーの資格も保有しているため、主に女性の骨粗鬆症のスクリーニングも行っています。骨折歴のある患者さまや、フレイルの兆候があり転倒のリスクがありそうな方に骨密度の測定を促し、測定値が低い場合は主治医と協議し、薬物治療に繋げることも行っています。
施設外で行っている活動
医師と2人で地域のシルバークラブに出向き、年に3回ほど出前講座を開催しています。
主に排尿症状や前立腺癌について、薬の服用方法等の説明と、多剤併用の注意喚起や睡眠障害における衛生指導を実施しています。
数年前からは、サルコペニア・フレイル予防のための運動や食事習慣についても加えて指導しており、住民の皆さまへの啓発に力を入れています。
患者への評価や結果の伝え方、アプローチ方法
当院では患者さまにサルコペニア・フレイルの可能性がある場合、その情報を院内で共有し、患者さまにとって有益なアドバイスを行っています。
排尿障害初診の患者さまには、ルーチンでフレイルと転倒リスク評価を実施(基本チェックリストと転倒スコア)し、併用薬の中に睡眠導入剤があればその変更や休薬の提案を主治医に行っています。
前立腺がん患者さまの場合には、初期診断時にルーチンでフレイル・サルコペニア評価を行っており、該当する患者さまに対しては、ホルモン療法開始後に食事・運動療法を行い、意欲低下や食欲低下の患者さまには漢方薬などの投与を提案しています。
他職種のスタッフへの評価や結果の伝え方、アプローチ方法
看護師には、薬の副作用についての注意点を事前に伝え、気を付けて患者さまを看てもらっています。医師に対しても、患者さまとの面談時に聞き取りしたことはもちろん、心配されていることや不安そうだったことを細かく伝えています。
基幹病院に勤務していた頃は、入院患者さまの血液検査結果や様子、変化等の情報を得てから患者に面談を行っていましたが、保険薬局では処方箋一枚の情報で対応しなければならないケースが多いのが現状です。
そのため、院外の保険薬局薬剤師には院内での面談や診察内容をFAXで共有しています。それに基づき、保険薬局の薬剤師が実際の薬を見ながら患者さまへ服薬指導を行っています。
「病気になったらまずは薬」を当たり前にしないということ
思いと今後の抱負
薬剤師としては、多剤併用の軽減や、ハイリスク薬の変更提案活動に力を入れたいと考えています。緩和ケアや終末期医療は「薬ありき」というのがまだ一般的ですが、私自身が老年医学や老年薬学に携わってから、薬に対する考え方が少し変わってきました。
例えば前立腺癌のホルモン療法中の患者さまには、サルコペニア肥満の方がとても多く、体力が落ちて鬱になってしまう方もいらっしゃいます。当院でもその様子をたくさん見てきて危機感を感じ、院長と私の2人で指導士資格を取るにいたりました。
こういった経験から、サルコペニア・フレイル予防のためにも「病気になったらまずは薬」ではなく、運動や睡眠などの生活習慣の改善をはかることの重要性を感じました。
たとえ患者さまご自身が薬を要望された場合も、強い薬からではなく、漢方薬などの補剤の処方から検討するなどして、できるだけ薬物に頼らない療法を提案していきたいです。
各フィールドで活躍する薬剤師が、指導士に興味を持ってくれたら嬉しい
指導士を目指す方へのメッセージ
私は指導士資格を取ってから、薬の処方についてや患者対応など、サルコペニア・フレイルにおける考え方がより深まり、視野がぐんと広がったように感じています。以前はあまり接点のなかった、他職種の方たちとの交流が増えたことも大きな刺激になっています。
指導士の職種のなかで、薬剤師の人数がまだ少ないのが現状であり課題です。基幹病院やクリニック、保険薬局など、さまざまなフィールドで活躍する薬剤師の方たちに向け、サルコペニア・フレイルを理解することの重要性を啓発し、指導士に興味を持つ方や交流が今後もっと増えていけばいいなと考えています。
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指導士インタビュー 【第一回】
サルコペニア・フレイル指導士の活動最前線
指導士インタビュー 【第一回】川崎医療福祉大学 リハビリテーション学部 助教、理学療法士
佐藤宏樹(さとう・ひろき)先生
広島県福山市出身。理学療法士。川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター非常勤兼、川崎医療福祉大学リハビリテーション学部で助教として教鞭を執る。サルコペニア・フレイル指導士として、サルコペニア・フレイルの認知や啓発にも精力的に取り組んでいる。
患者対応の質を向上させるために、自分の持つ知見を惜しみなく生かす
専門職種(理学療法士)として行っている活動
患者診療において、入院時にフレイルについてのアンケートを実施しています。YESかNOで回答する簡易チェックリスト形式で、患者さまができることとできないことを把握でき、運動や生活指導をする上でとても役に立っています。
認知機能が衰え回答が困難な患者さまの場合は、特定できる客観的な数値を元に判断するため、特に評価者の個人スキルが求められます。
また病院データベース内の評価項目にサルコペニア・フレイルがほぼ入っており、患者診療時に活用できるよう他の療法士と内容を共有しています。患者さまの身体機能において、入院中に合併症に繋がるおそれがないか等、サルコペニア・フレイルの観点からリスクを想定しています。
指導士として行っている活動
病院では主に他職種の教育や指導に携わっています。
まず現在のサルコペニア・フレイルについての認識や理解度を調査するために、医師、看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士等、全職種600名程度を対象にアンケートを実施しました。
病棟間や職種間で認知度や活用法におけるギャップはまだありますが、診療下の先生に評価方法を提示し、最終的には患者さまご自身で、できるだけその評価とフィードバックを生かしていただくことを目指しています。
また看護師の教育課程にサルコペニア・フレイルに関する講義内容を組み込み、アンケート結果を元に「こんなことを知ってほしい」という点を動画にして紹介しています。
施設外で行っている活動
地域の理学療法士や保健師とコラボし、65歳以上の高齢者向けの講演や評価を行っています。
フレイルについての説明から始め、各専門職種から認知や嚥下といった機能の説明等を全体で行った後、小ブースで個々への評価とフィードバックの時間を設けています。それを元に患者さまにはご自宅で実践いただき、約2カ月後に再評価もしています。
患者への評価や結果の伝え方、アプローチ方法
ひとえに高齢者といっても悩みはそれぞれで、運動習慣等により機能に個人差があります。不安を抱えている方への細やかなケアを実践するため、いかにわかりやすくフィードバックするかが大切です。
アプローチとしては、小規模な会場で個別ブースを設け、患者さまと密にコミュニケーションを取れるようにすることでしょうか。普段から評価に携わる複数職種のスタッフが同行し、患者対応の質の向上を目指します。
他職種のスタッフへの評価や結果の伝え方、アプローチ方法
評価が簡単であるがゆえに、患者さまへの伝え方に困っている若手スタッフが多いように感じます。そこで、評価項目の一つひとつにおすすめのフィードバック方法を設けた、細かな資料を作成し活用しています。
ただ評価だけを伝えるのではなく、問題点がどこにあり、何に気を付けていくべきか、そしてどのようにフィードバックをし目標設定するかが非常に重要であるため、その方法の部分から指導しています。
サルコペニア・フレイルを理解することの重要性を広め、活用機会を増やしたい
思いと今後の抱負
教育現場においては、卒前教育のレベルを高めることが重要だと考えています。サルコペニア・フレイルについて、学生たちに正しく、どれだけわかりやすく伝えていけるかが課題です。
医療現場の医師や看護師には、特に急性期におけるサルコペニア・フレイルの認識の重要性を啓発していきたいです。転倒予防等の医療安全の面にも組み込んでいけたらいいなと思っています。
そしてもちろん、一般の方向けの啓発活動や交流ももっと増やしたいです。
評価からフィードバックまで、一貫して適切に行える指導士が必要
指導士を目指す方へのメッセージ
サルコペニア・フレイルという用語の認知は少しずつ広まりつつありますが、実際に現場で診療にどのように生かすべきか困っているスタッフがまだたくさんいます。そのために、指導士が主体となって伝え行動することがとても大切です。
患者さまとコミュニケーションを取りながら、よく考え、適切なフィードバックまで総合的にできる指導士が増えると嬉しいです。
また指導士というのは、サルコペニア・フレイルの認知を広げる一つのツールのような役割も果たしてくれていると感じています。より多くの方に興味を示していただけるきっかけになれたら嬉しいです。